キプロスとユーロの鎖

ここ最近、世界中の注目を集めている、
地中海の小国キプロス。

キプロスというと、チーズ!

グリルド・ハルミ!です。
山羊からできたチーズを網で焼いちゃうんです。
私、チーズ大好きなんですよ^^

スイスのラクレットなんて、
焼くとドロドロのスライムみたいに伸びる
ハイジのチーズ!っていう感じですが、

このグリルド・ハルミは
山羊のチーズのくせに、全く臭みがなく、
弾力があってとてもチーズとは
思えないほどの逸品です。
このチーズが食べたくて、バックパッカーを
やっていた頃、近くまで行きましたが、
紛争とか、テロとかゴタゴタしていて危ない
イメージがあり、パスしてしまいました。

というのも、キプロスは74年に南北に分断され、
北はトルコの支配
南はキプロス共和国(ギリシャ系)
に別れていたからです。

しかも、国土はめっちゃ小さいです。
どのくらい小さいかというと、
人口は80万人。
日本の四国の半分位の島です。
こんなに小さな島が、今ユーロを
揺るがしているのですね。

 

歴史的には、オスマン帝国や
イギリスの植民地だったりと、
様々な民族文化が混じった島です。
イタリアのシチリアを思わせますね^^

近年、イギリスから独立する際に
南部に住んでいた先住民であるギリシャ系の
国民が統治権を握ろうとして、北に移住してきた
トルコ系住民が反発、武力闘争に発展していきます。

そして、トルコ共和国が
「キプロスのトルコ系住民を保護」
する口実で軍事介入し、
トルコ系住民が多かった北を一方的に独立宣言させ、
島は真っ二つに割れました。

南部のキプロス政府は、
ギリシャ政府に支援を要請。
ギリシャの軍隊が駐屯するようになると、
負けじとトルコも北部の軍隊を増やして、
国境付近での小競り合いから、
トルコVSギリシャの武力衝突に
発展していきました。

というわけで、
キプロスは現代も南北に分断されています。
ですけど、2008年4月に南北をつなぐ
検問所が開設され、南北間の行き来が
可能になりました。

現在では、そのような事情もあるのですが
ヨーロッパ系の人がビーチリゾートとして
バカンスや観光に来る人が多いようです。

ちなみに、ギリシャ神話のアフロディーテ
(女神ヴィーナス)が生まれた土地って
キプロスなんですよ^^

ではでは、今回大騒動になった
経済はどのようなシステムになっていたのでしょうか?

まず、挙げられるのは、
タックスヘイブン。

ケイマン諸島とか、シンガポールも有名です。
タックスヘイブンとは、
「オフショア金融センター」とも呼ばれます。

発音が似ているので、
「税金天国(タックスヘブン)」
と思われがちですが、微妙に違います^^

微妙に綴りが違うのですが
「税金天国」の意味と近いんでどっちも一緒じゃん!
と思うのですけどね。。
とにかく税金が安いんですよ。

その目的は

1 外国資本
2 外貨獲得
3 企業や富裕層の資産を誘致

このような政策を取る国は、
世界的には、小さな国が多いです。

とにかく、税金をゼロに近くしてお金を集めて
経済を回して国を豊かにしよう!

という考えの元に一生懸命お金を集めます。
そして、キプロスにもお金がたんまりと集まりました。
(このタックスヘイブンが元で、高税率のドイツとの
折り合いが悪く、有利な支援を打ち出せなかったと
言われています)

どのくらい集まったか?
というと、
キプロスの銀行資産は

キプロス全国民の総生産の8倍!

という歪んだ構造になってしまいました。
ではそのお金をもう少し詳しく見ると、

1 ヨーロッパ富豪の資金逃避先として預金された。

2 ロシアのアングラマネー(グレーゾーンのお金)

と言われています。
特にキプロスは

「マネーロンダリングの拠点」

という黒い一面を持っています。

この場合はロシアからの
グレーなお金を引き受けて、
キプロスの銀行を経由して、
洗濯されたお金は市場に戻っていきます。

で、問題なのはその過程で
アングラマネーを元手にギリシャ国債を大量に
買っちゃった事なんですよね。

そこでギリシャの騒動があり
その煽りを食らい、自国では再建不能なほどの
経済ダメージを受けました。

その傾いた財政を建てなおすために
ユーロは100億ユーロの支援と引き換えに
キプロスの預金者から58億ユーロを捻出するように
という、強引な案を出してきた事でした。
国民の立場から言ったら
たまりませんよね!
一生懸命貯めたお金をバッサリ持って
いかれてしまうのですから!

とりあえず、10万ユーロ以下の小口預金者は
免除されましたが、この大口預金者の損失額は
全預金の40%になる見通しらしいです^^;(26日現在)

まあ・・・この一件で
カンカンなのはロシアでしょうね^^;
(で、キプロス側は預金保護と引き換えに
ロシアからも支援を引き出そうとしましたが、
これにユーロが激怒して、すごすご諦めてます笑)

 

そこで問題なのは
以前にも、このブログでも取り上げたかと
思いますが、

「ユーロには脱退する、というルールがない」

という事です。

ユーロに入ったら、一蓮托生。
ユーロの国々は
鎖で足を繋がれるようなものです。
そして、
今回の騒動で私達トレーダーが
注目するべき所は
金融危機に陥った時のECB、
そしてドイツの対応

です。
ユーロのシステムは脆弱です。
経済的な危機が起きた時、盤石に救済する
システムが確立されていないのです。

脱退する、という選択肢すらないのですから。
どのように救済するのか?
救済しないのか?
前例を作ってしまえば、
それが、ルール(基準)となっていきます。

仮にキプロスのユーロ脱退を許したら、
他の国も、じゃ、うちも・・・なんて事になりかねません。

今の状況は
ユーロという共同体が

蛇をたくさん入れた水槽の中に、
目隠しして腕を突っ込んで、
500円玉を拾おうとしているような

非常に危なっかしい状態です。

ですから、今回の支援策も
支援と引き換えに、

「大口預金者の預金をカットされた」

という前例ができました。
そして昨日の
ダイセルブルーム財務相の発言。

「ユーロ圏銀行危機の解決にむけて、
新たなモデルとなる」
これ言っちゃうのか~!
というお言葉でしたが、その言葉に
マーケットって敏感に反応するんですよね。

銀行部門問題を抱えている
イタリアやスペインにも
同じ事が起こるんじゃないのか?

という連想が働き、
ユーロが売られたりと慌ただしく動きました。
今後ユーロの火種はいくつもあるので
今回のパターンはよーく覚えて置いたほうが
良いと思います。

毎回ですが似たようなパターンが
起こりますので、チャートの裏付けとして
補強材料になります。
できたら、チャートを印刷して
書き込んでおくといいです。
今日はちょっと長くなりましたね^^

ここまで読んで頂きありがとうございました。
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